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超音波診断装置の
未来図は、
医療の現場にある。

超音波開発部
ILUCAプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ

栗田 康一郎

Q01

栗田さんは、装置のシステムやソフトウエアの研究開発職ですが、医療施設に出向き、
直接ユーザーの声を聴くことが多いそうですね。

 装置のワークフロー性能を良くするためには、医師や技師の方々など実際にお使いになる方に日常の装置の使い方などお話を伺うことが大切だと考えています。
 ユーザーサイトに出向くことを自然なことと感じるのは、約50年前、医師の方々と開発メンバーが一緒になって初期の装置をつくりあげた会社としての歴史が原点にあるからかもしれません。

 現在、メンバーの約半数程度が、機会をつくってはさまざまな医療の現場へ足を運んでいます。多様な分野の意見を直接お尋ねすることは、多くの臨床分野に効率的に対応できるという利点があります。開発や改良にあたっては、海外からの情報も含め、営業やサービスの意見など、多くの経路から収集した膨大な情報を統合、分析し、我々の事業の進むべき道を考慮しながら開発コンセプトを決めていきます。ただし、その時にどのような情報を注視するかというと、私は日常装置に触れていただいているユーザーのご意見を重視するようにしています。

 超音波診断装置という装置は、CTやMRIとは異なり、片手でプローブを患者さんの体にあてながらリアルタイムで映し出される画像を見るという操作特性があります。検査技師の方がプローブを動かしながら画像を見る作業に集中したい時、装置のボタンがわかりづらかったり、装置のレスポンスが遅いと操作するお客様がストレスを感じ、ひいては、患者さんの診断時間も伸びストレスもかかってしまいます。画像の進化はもちろん大前提としてあります。その上でワークフロー性能の向上によって"医療の現場"を支えることは必ず、患者さんのためにもなります。だからこそ、医師や技師の方々に向き合った研究開発を行う。その姿勢が大切だと考えています。

Q02

自分たちのつくった装置が人々の役に立っているという実感はありますか。

 貴重な機会として、私たちの装置を使用する治療の現場に立ち会うことがあります。とても緊張する経験です。医師の方々が患者さんに声がけするのを聞きながら、画像が鮮明に映しだされるのを見ていると、見守るだけしかできない私たちも一緒に治療をしているような気持ちになります。
 自分たちのつくった製品が患者さんの「いのち」を救うのに役立っていると肌で感じる瞬間ですし、自分たちの仕事が世の中の役に立っている、もっと良いものをつくらなければ、と気持ちが新たになりますね。

Q03

超音波の長所を医療の未来に活かすために
今、思い描いていることは?

 非侵襲で医療被ばくがなく、装置サイズも小さくて、移動が可能。超音波診断装置の長所はそれだけではありません。今後、高精細化が進むことで、より細かく体の中をリアルタイム観測できるようになります。しかしながら、現在、超音波診断装置の画像は、誰にでもわかりやすいものではなく、手技に結果が依存する面もあります。この点を補う研究開発を進め、より簡便で客観性の高い診断を提供していくことがより多くのユーザーのお役に立ち、患者さんも含めすべての方のMade for Lifeにつながるのではないかと考えています。