患者さんの願いを、
未来の医療をかたちにする

研究開発(ハード)

医療用コンポーネント技術開発センター
ハードウェアコンポーネント開発部 機構担当
工学院 人間機械システムデザイン専攻卒
※所属は取材当時のものです

MY WORK

開発の仕事は、アイデアをかたちにして世の中に送り出すこと。常に「どんな機能があればお客様が使いやすいのか」「子どもがもっと安心して検査を受けられるようにするには?」と考えながら、数年後にリリースされる予定の製品を開発したり、10年先に当社の強みとなるような要素技術を開発したりしています。私の担当は、MRIのハードウェア設計。日々、お客様や患者さんの“願い”をかたちにするために知恵を絞っています。

INTERVIEW KEISUKE OKUZUMI

入社の経緯を教えてください

実は、14歳のころに大きな手術を受けたことがあるんです。担当医の方が選んだのは、身体に負担がかかる開胸手術ではなく、カテーテルを使った最先端医療。もともとものづくりが好きだったことも影響しているとは思うのですが、当時は中学生ながらに「医療機器ってすごい」と感銘を受けたことを覚えています。大学生になってもその想いは変わらず、就職活動では医療機器メーカーを軸に企業を訪問。なかでも世界トップレベルの“被ばく低減”“静音化”の技術、患者さんの負担を減らす技術を持つキヤノンメディカルシステムズには特に惹かれるものがありました。社員の方に「大切なのは、現場の“声”を開発に活かすこと」という話を伺えたことも大きかったと思います。最終的に「ここでなら患者さんのことを第一にものづくりができる」と入社を決意しました。

現場の声を知ることが大切なんですね

今、私はMRIのハードウェアを設計しているのですが、やはり医師や技師の方、その先の患者さんを知っているかどうかで仕事の質が変わってくるかと思います。以前、病院で子どもの患者さんへの検査を見学したとき、技師の方に「音が静かで怖くないから、小さい子はキヤノンさんの機器しか使わないんですよ」と言われたことがあるんです。この仕事の醍醐味は自分のアイデアをかたちにできることですが、それ以上に「自分がつくったものが患者さんの安心につながっている」という手応えを得られることは私の大きな励みになっています。現在はできる限り現場のお客様、患者さんの“願い”を実現できるように、マーケティング担当や営業担当などの意見に耳を澄ませていますし、ときにはユーザー目線を吸収するためにハードウェア設計担当以外のエンジニアに使用感をヒアリングすることもあるんです。

現場主義が芽生えたきっかけは?

入社1年目か2年目のときに挑戦した、MRI装置の据付性改善プロジェクトですね。当時、機器の設置は現場のカスタマーエンジニアの裁量に任されるところが大きく、自由度が高いために膨大な作業時間がかかっていたんです。私は「病院によっては丸一日かかる」「やり直しが発生することも多い」という現場の声を拾い集めながら、先輩社員と何度も何度もブレストしながら新しい据付器具を開発。作業時間を1日から30分にまで低減することに成功したんです。ヨーロッパの現場にも足を運んだのですが、私を出迎えてくれたのは「Great! Good Job!」という歓声。エンジニアから「よくやった!」「もっとやれ!」という感謝の言葉をいただけたとき、このプロジェクトに費やした時間が報われたような気がしました。以来、仕事に臨むたびに「この開発は誰のためか」「独りよがりになっていないか」と自問するようになりました。

この会社の魅力は?

当社の魅力は、キャリアに関係なく責任ある仕事を任せてもらえること。特に入社3年目のユーザーインターフェイス開発が印象に残っているのですが、当時はまだまだ仕事の全体像が把握しきれているとは言えない状況でしたし、「製品価値を左右するような案件を私に任せていいのか」とすこし戸惑うところがありました。手探りで“最適解”を決めるプロセスは決して簡単な道のりではなかったものの、営業担当やアプリケーション担当、事業部担当へのプレゼンを通じて、エンジニアとしての自信が持てるようになったことは大きかったと思います。現在は若手メンバーが中心になって、「10年先に求められるMRI」を検討する部全体を巻き込んだワークショップも開催していますし、“社員一人ひとりのアイデアから未来をつくろうとする姿勢”は当社の大きな強みになっていると思います。

INTERVIEW KEISUKE OKUZUMI

今後のビジョンを教えてください

医療業界ではすでに話題になっていますが、“検査中にMRIの中で映像を見ることができる”という画期的なMRIの技術を開発された先輩がいるんです。これによって今以上に子どもは安心して先端医療を受けることができるようになりますし、いつかは先輩のように“まったく違う領域の技術”をも吸収して斬新な製品を開発するような仕事をしていきたい。そして、中学生のころの私がそうだったように、患者さんがもっともっと安心して医療を受けられるような医療機器を開発していけたらと考えています。“騒音ゼロ”を実現するにはまだまだ技術的に大きなハードルがありますが、これからも現場に足を運ぶなかで、現場の声に耳を澄ますなかで“理想を実現するための種”を見つけていきたいと思っています。明るい、広い、静か、楽しい。そんな言葉が、10年後のMRIの代名詞になっていたとしたら、こんなに嬉しいことはありません。